LinkedInの2億人突破ニュースを活用したグロース・ハック

LinkedInの2億人突破ニュースを活用したグロース・ハック

先日、LinkedInの2億ユーザ突破が発表されましたが、この2億人突破のニュースを上手にグロースハックしている例をご紹介します。

このニュースに関連して、最近既存ユーザ宛に送信されているメールに、大きく「おめでとうございます！2012年にあなたの履歴書が閲覧された回数は、（そんな沢山のユーザの中でも）上位5%に入りました」と明記されていました。

一方で、当のニュース自体は、小さな文字で「LinkedInが2億ユーザを突破しました」と記されるにとどまっていました。

これは、どちらも客観的なデータに基づいた単純な事実ではあるものの、Retentionを高めるために非常に効果的です。

2億人突破自体は強力なRetentionにはつながらないように思えますが、トップ5%と言われると、自分が優良顧客のように感じられ、その結果、LinkedInのサイトを訪問したり、この事実をFacebook等で自慢したくなってきます。

つまり、「1000万人（=2億人の5%）」という非常に大きな数字でありますが、これを「5%」という小さく見える数字で魅せた部分が巧みであると同時に、「全ての既存ユーザの中で上位5%に入る」という「（自分も所属／関係する）コンテクスト」の中でのトップ5%であり、「一般大衆向けのニュース」を「僕（私）個人向けの祝福」としてパーソナライズしており、「僕（私）は、上位一桁%以内に入る優良顧客である」という優越感とともに、他人事のニュースが自分事のように思える効果もあり、単純な事実をRetentionを誘発する仕組みに編集できているのです。

さらに、余談ですが、上位5%の優良顧客がエンゲージすることで、例えばこの事実を自慢するためにTwitterやFacebookへの投稿をすることで、新規顧客のAcquisitionが見込めるのみならず、他の既存顧客に対してもLinkedInの外で、間接的なEngagementを高める（=価値を訴求して、Retentionや復活を誘導する）ことができるという、副産物も狙っているように見えます。

このメールは、LinkedInのグロースについての非常にフォーカスした戦略にも適っています。LinkedInのグロース・チームを率いるElliot Schmukler @eshmu によれば、「非アクティブユーザに何かさせるよりも、アクティブ・ユーザにもっとアクティブになってもらう方がずっと簡単」ということです（注：詳細は、また別途ご紹介します）。

まとめると、

• 課題：ニュースメールのクリック率（Retention）を高めたい
• 解決策：ニュース内容にコンテクストを与え、魅力的で個人化した内容に編集して送信
• 期待される効果：既存優良顧客のRetentionを高めるのみならず、他の既存顧客のEngagementや潜在顧客のAcquisitionも高めることができる

GrowthHacker.jpでは、シリコンバレーや日本、アジアのグロースハッカーの皆さんに取材をしながら、同時に、様々なプロダクトについて、グロースハック・アイディアの”リバースエンジニアリング”（=研究）をしています。今後も、このようなベスト・プラクティスと言えるような事例を、適宜紹介していきます。日本のグロースハッカーコミュニティにご興味のある方は、Facebook Groupにご参加ください。

@RyosukeKawamura この記事を書くきっかけをありがとう！

Originally published at growthhacker.jp.