サンフランシスコという舞台に集まる起業家、サイエンティストが成長に欠かせない存在に

Yusuke Takahashi PhD
GrowthHacker jp
Published in
4 min readApr 11, 2016

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2014.04.23 米AppSocially 創業者兼CEO 高橋 雄介

この記事は、2014.04.23に、僕が日経Big Dataに寄稿した記事をNIKKEIBPのYohei Ichishimaさんの許可を得て転載させていただいたものだ。

ビッグデータ関連の起業家などが集まる「Happy Data Hour」(米サンフランシスコ)

米サンフランシスコのソーマ地区にある、ビッグデータの分析・可視化サービスを手 掛ける「Keen IO」の本社に2014年4月中旬、データサイエンティストなどが集まっ た。「Happy Data Hour」と呼ぶこの会合はビールを片手にベンチャーの起業や業 界について意見を交換し合うのが目的である。「セールス・フォース・ドットコム」 や、最近米グーグルに買収され話題となった学習機能付きのサーモスタットを作る 「ネスト」、クラウドメールの「センドグリッド」などのデータサイエンティストな どが参集した。

ここサンフランシスコでは、データ サイエンティストに対する求人需要が 極めて高い。4月14日現在、求人情報 検索エンジンの「シンプリー・ハイア ード(Simply Hired)」によると、サ ンフランシスコ近郊だけで、2488件 もの求人がヒットした。

ツイッターやフェイスブックといったビッグデータ企業だけでなく、フィ リップスやビザ、ウォルト・ディズニー、ウォルマート・ストアーズ、AT&Tといった 一般の大企業まで顔をそろえている。中には花王の米国法人といった日系企業もあ る。エンターテインメントや流通など、幅広い業種がビッグデータ活用に乗り出して いる証左であるともいえる。

データサイエンティストが重用される新たな背景に、企業や製品・サービスのグロース(成長)に欠かせない人材であるという点が挙げられる。リーンスタートアップと呼ぶ「構築―計測―学習」のプロセスを素早く繰り返すグロースの手法があるが、まさにここにデータサイエンティストが欠かせない存在となりつつある。特に、「失敗しにくくする」ために「科学的な検証プロセスをとる」という視点が重要だ。

起業家のスティーブ・ブランク氏が唱えた「製品ではなく顧客を開発せよ、顧客が満足するかという視点で継続的に検証せよ」という手法はまさにリーンスタートアップに通じるものだ。

グロース担当副社長を置く企業も

自分の家や空き部屋、空きスペースを利用者に直接賃貸することのできる「Airbnb」は、旅行者のホテル需要を取り込むことで、急成長している。同社はデー タ・ドリブン・グロース担当の副社長と言うポジションを置いている。データ活用で 成長する戦略を立案する役目であり、フェイスブックでエンジニアリング担当副社長 を務めた人物を据えている。

サンフランシスコの街はこうした小から大、巨大まで様々なビッグデータ企業が比較的狭いエリアに存在し、冒頭に紹介したようなカジュアルなイベントが頻繁に開催されているのが醍醐味である。

どのデータを活用して、企業や製品・サービスをどのように成長させているのか、オープンな議論が毎晩のように繰り広げられている。まさに街全体が大きな研究室であるかのようだ。

Originally published at NIKKEI BigData.

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Entrepreneur, Computer Scientist, Cycle Road Racer, Beer Lover, A Proud Son of My Parents, Husband, Father, Trail Runner (**new**)