グロースハッカー vs マーケター?

Yusuke Takahashi PhD
GrowthHacker jp
Published in
6 min readApr 11, 2016

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グロースハッカー vs マーケター?

グロースハッカーやグロースにフォーカスしたプロダクトチームを説明する際に、避けて通ることのできない比較対象として、所謂マーケターがいます。

どちらも同じマーケティングの課題を解決する役割ではありますが、要求されるスキルや知識、経験のセット、また、基本的な態度や行動規範が異なります。

Andrew Chen @andrewchen がわかりやすく表現した言葉にも表れているとおり、グロースハッカーやグロースチームはユーザ獲得を含む、マーケティング上の課題を解決する役割を担っていますが、要求されるスキルや知識、経験のセットは違うのです。

グロースハッカーは新しいマーケティング担当副社長だ

たとえば、Andrew Chenは、こんなことも言っています。

製品を素早く拡めるためには、MBAではなくAPIを使ってプラットフォーム上で流通させるのが一番良い。

また、Alan Jonesは、基本的な態度や行動規範等の違いに言及して、次のように述べています。

誰かがグロースハッカーか単なるマーケターなのかをどうやって見分ければ良いか?彼らのプロジェクトに対して、1/3の予算と半分の時間を与えてみるとともに、オフラインのメディアや、一流のアドネットワークやアドワーズを使うのを禁止してみると良い。もし、参ってしまって、自己防衛的に言い訳なんかを始めたら、その人はマーケターだ。そうではなくて、すぐにホワイトボードに向かって行って、アイディアのスケッチを始めたら、その人はグロースハッカーだ。

マーケターは、スキルを学んだ上でそれを実行する。グロースハッカーは、実行することによりスキルを学んでいく。マーケターだったら”まずは問題を理解しよう。その上で、解決策を僕がデザインします”と言うけれど、グロースハッカーならば”異なる複数の解決策を試してみるこことで、僕は問題が何なのかを理解し始めることができる”と言うのだ。

これらは(新しい概念を明確に伝えるために敢えて採った)少し極端な比較の仕方なのかもしれませんが、これらの違いに加えて、アプローチの違いがどのような効果に影響するのかといった視点から整理すると、新たな別の視点でグロースハッカーについて理解することができるということを、Pathのビジネスデベロップメント担当副社長のMatt Van Horn @mvanhorn が教えてくれたので、ここでご紹介したいと思います。

Mattは、創業の頃のPathに参加する前は、ピンクの髭で有名なLyft(Uberのようにタクシーが不便な地域の問題を相乗りで解決するスタートアップ)の創業者であったり、Diggの最初の非技術者従業員であった人物で、マーケティングやグロースに明るい経験ある起業家です。彼のApple、Lyft、Digg、Pathでの経験によれば、

PRはブランディングや採用に効果があるけれど、ユーザ獲得への効果は小さい場合が多い。

一方で“真のグロース”はプロダクトでの最高のユーザ体験の結果であって、これによりアプリが自ずとグロースしてくれるようになる。

Path 2.0以降の飛躍的なユーザ数の伸びが全てを物語っていますね。Pathのユーザ数は昨年まで百万人程度でしたが、ユーザ体験にフォーカスしたアプリのアップデート以降、一年足らずで6百万人(昨年から5百万人の増加)までグロースをしています。つまり、これは、エンゲージメントを高めるためのプロダクトチームのグロースを目的とした仕事の成果であり、一方で、マーケティングチームが製品の周りで明確なブランディングをすることによって、例えば最高のメンバーの採用や事業を継続していくための資金調達に効果があったということです。

ちなみに、現在のPathは、グロース・チームと、マーケティング・チームの両方を、別の役割を担うものとして、しかし、相互に連携を取りながら運営しているとのことです。

当たり前のことではありますが、ユーザを獲得して、グロースをしていこうと思ったら、とにかく最高の製品を作るために、特にアプリの中でのエンゲージメントを高めていくことが大切だと言うことですね。

グロースハッカーの仕事は、全てをトラッキングして、ユーザについてのデータを見ながら、ユーザが喜んでやまない製品を作るために、素早く、クリエイティブなアイディアを繰り返し試しながら、製品のユーザ体験を最高のものにすることだ、といっても過言ではないのかもしれません。

エンゲージメント(Engagement)が高まると、口コミや招待(Virality)の回数が増えますし、満足したユーザの声が、ユーザ獲得(Acquisition)や、ダウンロード後にサインアップしてアクティブになってもらう(Activation)のに貢献するのだということを、Pathは実証しています。

@mvanhorn 明快なインサイトをありがとう!

GrowthHacker.jpでは、これからも、シリコンバレーの情報を紹介しつつも、日本のグロースハッカーについても紹介をし、日本のグロースハッカー間での情報交換の場所も作っていきたいと思っています。もし、あなた自身がグロースハッカーであると思うならば、あるいは、誰か素晴らしい経験とスキルを持った友人をご存知ならば、@GrowthHackerjp か yt [at] growthhacker.jp 宛に教えて下さい。また、3/16日にグロースハックをテーマとしてハッカソンGrowthathonを開催予定です(詳細はこのサイト内かFacebook Groupにてご連絡します)。日本のグロースハッカーコミュニティにご興味のある方、是非Facebook Groupにご参加ください。

Originally published at growthhacker.jp.

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