“すべてはリテンションに帰結する” Andrei Marinescuから学ぶグロースの30の神髄

Yusuke Takahashi PhD
GrowthHacker jp
Published in
7 min readApr 12, 2016

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“すべてはリテンションに帰結する” Andrei Marinescuから学ぶグロースの30の神髄

リクルートGrowth Hacker Monthの第1週目は、米国LAから、Andrei Marinescu氏をお招きした。多忙な中での短期滞在にも関わらず、日本での講演参加者向けに、また、個別に訪問した企業にとって非常に有意義なものになったようだ。Andreiと一緒に過ごす中で得た”Takeaways”(持ち帰るに値する貴重な学び)をここで紹介しようと思う。どれも素晴らしいアドバイスばかりだ。

About Andrei Marinescu

Andreiは、500 StartupsのDistribution Hacker-in-Residenceであり、投資先企業のグロースのアドバイスをハンズオンで行っている。500 Startupでの投資先支援に従事する前には、Viddy、Hulu、MOGにて、グロースチームの指揮をとっていた経験あるグロースハッカーだ。

なお、招待講演のまとめはいくつかのサイトで紹介していただいているので、そちらを参照されたい。

Takeaways

  1. “グロースは製品開発チームの片手間では達成しにくい。解決策としては、全員がグロースのマインドを持てるようにするか、あるいは、専属のメンバーをアサインしてしまうことだ。”
  2. “グロースは、経営陣のマネジメントによってもたらされる。組織内のマインドセットを変えてあげられるような会話をしていくのが重要だ。
  3. “グロースチームを構成されて機能させるには、創業者やマネジメントの言葉が重要。例えば、どのエンジニアをグロースチームにアサインするかについて、みんな新しい機能の開発チームに加わりたがるけれど、グロースが会社の成功に貢献する重要な仕事だと、繰り返し伝えることだ。”
  4. “リリースの締め切りを追いかけるよりは、Lean Startupの考え方にあるとおり、継続にデプロイをし続けて、検証による学びが得られることを組織内のマイルストーンにするべきだ。つまり、OutputよりOutcomeが重要だ。”
  5. “僕は僕自身のことを、グロースハッカーというよりは、グロースを駆動できる製品を作れる人物と呼びたい。グロースの際にハッカーと呼ぶと、成長のためにはワルいこともしていよいように聞こえるからね。真のグロースは、ユーザに満足してもらって達成できるものだ。”
  6. “グロースは組織的に取り組むべきもので、考え方や組織内のカルチャーが重要だ。グロースハッカーと言ってしまうと、エンジニアのみの仕事のように聞こえてしまう。”
  7. “グロースハッカーは、セクシーな言葉だけれど、実際には地道に製品自体を良くしていくプロセスのみが、グロースを達成させることができる。”
  8. “グロースは、実践しながら学ぶことが重要。どこでも通用するマジックはなくて、99%は失敗すると分かった上で、そこから得た学びを活かしていくことが重要だ。”
  9. “グロースチームにとって、個別の成功事例や戦術は重要ではない。本当に大事なことは、これらの事例や成功事例を、自社の製品や市場、顧客にも適用可能かどうかを素早く検証してみようというカルチャーそのものだ。”
  10. “グロースチームに重要なのは、科学的な思考方法だ。”
  11. “B2Bのグロースに重要になる方法の一つとして、コンテンツ・マーケティングがある。自社のブログ等で製品を提供する企業としての専門性を訴求することができると同時に、潜在顧客を製品分野の専門家に育ててあげることで、担当者が製品を購入する理由を組織内で正当化できるように導いてあげることができる。”
  12. “グロースは、学際的であり、全体論的であり、スケーラブルである。”
  13. ”学際的であるとは、製品開発、デザイン、エンジニアリング、データ、伝統的なマーケティングについてだ。”
  14. “全体論的でありるとは、エンゲージメント(戻ってきてくれる)、リテンション(使い続けてくれる)、アクイジション(新規ユーザ獲得)に関わると言うことだ。”
  15. “スケーラブルであるとは、再現可能で、費用対効果指向であり、反復して続けることができるということだ
  16. “グロースのためのプロセスは、(1)仮説を定式化し、(2)MVPで検証し、(3)トラクションを確認し、(4)プロダクト/マーケット・フィットを得て、(5)スケールさせる、だ。”
  17. “グロースのための重要な戦術は、(1)優れた製品をつくることそのものであり、(2)製品が提供する価値を明確に伝えること、(3)あなたのユーザをよく理解すること、(4)キーとなる重要な指標を定義すること、(5)エンゲージメントとリテンションに集中することだ。
  18. “グロースの施策は、粒度が小さくて、効果の大きいものを探すことが大事。小さいバケツに分けることだ。”
  19. “グロースの施策を実行したら、施策自体を選んだ意思決定自体の測定も重要。想定されるインパクトが本当に想定したとおりだったかどうか、仮説がそもそも正しかったのかを測定することで、その後の意思決定の精度を上げていくことができる。”
  20. “経験的に言って、churn rate(解約率)は5%より大きくしてはいけない。”
  21. “製品のコピーライティングは、開発チームによって会議室で決めてはいけない。対象とするユーザが分かる平易な言葉にするべきだ。”
  22. “具体的なCTA(コール・ツー・アクション)のページでは、それ以外のことができないように、グローバルメニューさえも消してしまってよい。”
  23. “サインアップ後は、ユーザが何をするべきなのかを具体的に教えてあげることが大事だ。しかも、その方法はできる限り簡単にすることだ。”
  24. “製品を解約しようとしている人がいるタイミングは、戦略的に非常に重要だ。やめなくてもすむ方法をできる限り用意するとともに、それでもどうしてもやめる人には、しっかり理由を聞くことだ。製品を改善するための、他では得られないような非常に重要なフィードバックが得られる。”
  25. “InstagramのPolpular/Exploreフィードは、ユーザ体験としては良くない。誰もがジャスティン=ビーバーのことに興味がある訳ではない。”
  26. “User Generated Contentsを集めるのは大変だ。経験的に言って、3%がコンテンツを創ってくれるが、97%は消費するだけだ。”
  27. “計測できなければ、管理することができない。”
  28. “グロースチームは、常に新しいユーザ獲得チャネルを探索し続けることが大事だ。新しいチャネル(ソーシャルメディア等)では、常に先行者利益があり、皆賀使い始めた頃には、その効果は殆ど薄れてしまう。現在のTwitterやFcebookのようにね。”
  29. “Emailはエンゲージメントにすごく効く”
  30. “グロースは、優れた製品体験そのものをにある。つまり、すべてはリテンションの問題に帰結する。”

Slides

Andreiがプレゼンテーションで使用したスライドをシェアしてくれたので、こちらに掲載しておく。

Pursuing Growth — Examples from Hulu Plus from Andrei Marinescu

Originally published at growthhacker.jp.

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Entrepreneur, Computer Scientist, Cycle Road Racer, Beer Lover, A Proud Son of My Parents, Husband, Father, Trail Runner (**new**)